傑作選、第7夜となりました。これにて、おしまい。
「
消える魔球」(2008年2月19日初出)
いつも明るい青年ボウラー≪あ≫と、ドリンクらっぱ飲みボウラー≪ら≫との会話。
あ 「関西オープンでした」
ら 「先週かい」
あ 「山本勲プロ、またまた、優勝でした」
ら 「すごいなあ」
あ 「魔球、投げてるんじゃないですか」
ら 「消える魔球、か」
あ 「へ」
ら 「あ。知らないかい」
あ 「・・・」
ら 「星飛雄馬だよ。巨人の星」
あ 「・・・、昔のアニメですか」
ら 「大リーグボール1号。いや、2号だっけ」
あ 「消える魔球なら、彼も、投げますよ」
ら 「だれ」
あ 「ほら。あそこの、彼」
ら 「ボールが速くて、消えるの?」
あ 「まさか」
ら 「レーンオイルが飛ばされて、霧になって、ボールが見えなくなるとか」
あ 「あはは。アニメの世界ですね」
ら 「わかった。ガターしたんだろ」
あ 「ブブー、違います」
ら 「・・・」
あ 「ベンチの、ここ、見てください」
ら 「あ、割れてる」
あ 「消える魔球、ですよ」
ら 「え」
あ 「バックスイングで、後ろへ、投げたんですって」
ら 「・・・」